(出来上がった店舗、私の露天歴はもはやプロ級だ・・汗)

 

 店構えはなかなかだと思った。商店街のかき氷から始まり、福祉エリアの縁日村(金魚すくい、輪投げ、玉入れ、射的、かき氷など)、日専連釣り大会でのかき氷、神明社での初詣客へのおしるこ無料配布などなど・・・私の半生は縁日抜きでは語れない。こうした店舗づくりはもう慣れっこなのだ。

(旧正札竹村の品々。これぞ竹村利活用!?)

 こだわったのは露店らしからぬ居住性だ。店舗内では選挙事務所用に竹村からバカ安値で買い取った品々が数多く使われた。2F銀サロンの椅子は現役の結婚式場並みの高級品だ。7Fレストランの4人がけテーブルは天然木製、¥700のきりたんぽを食べてもらうのに折りたたみイスと会議室テーブルでは貧相だからだ。調味料入れを置くお盆は後援会事務所で愛用している曲げわっぱ(柴田慶信作「9寸裏柾丸盆」・・裏が黒塗りでない丸盆の上級品)だ。これにシャレで箸立てとして¥150の塗料缶を組み合わせた。お客さんには「随分変わってるわね〜」、「このイスってホテル用?」など評判が良かった。

 味噌つけたんぽへのこだわりは更に上をいく。我々は『大館市の多くの人が「たんぽは鍋に限る。味噌つけたんぽは美味しくない」と思っている事への挑戦』を最大のテーマに掲げた。地元でも評判が今イチの同商品を如何に本物の味として売るか?・・・素人の我々が研鑽の末たどり着いたのが以下の4点だった。

@きりたんぽは1本1本手造りの品、それ以外は一切使わない

A味噌は上級品を厳選する

B「砂糖の甘ったるさ」からの脱却・・はちみつや水飴など自然由来の甘さと美味しい味噌のコラボを徹底追及する。

Cきりたんぽの最大の弱点は「冷めると固くて味も落ちる」。オーダー後にまずたんぽをその数だけレンジアップ。直後に1本1本丁寧にこんがり焼きあげる。結果、噛むと「アツッ!」と言うほど中は湯気が湧き上がるホックホック、外は焼きたてのパリッパリという・・前代未聞の『超丁寧&グルメ志向味噌つけたんぽ』が出来上がるのだ。

 

(「絶対作り置きしない」・・数さばきに重きを置く露天では掟破りだ)

(何キロ味噌を捨てたか知れず・・研究の末たどり着いた秘伝ソース)

 主力スタッフは4人・・明石、木次谷、木次谷夫人、後援会事務局長の知人Sだ。私と知人Sはきりたんぽ鍋をつくるスキルが約0.3メガヘルツ・・完全戦力外通告な為、木次谷夫妻が鍋を担当した。味は醤油本来の味を生かす事を追えばサッパリ系、濃厚芳醇な比内地鶏の味を追えばコッテリ系になる・・・これは賛否が十人十色なので夫妻は苦労していたが私はこれには全く関知しなかった(できなかった)。一方の味噌つけたんぽは主に私が担当したが、期間中一度たりとも「不味い」と言われた事が無かった。若いアメリカ人女性は「十和田湖で食べたものとは味が全然違う!ホント美味しい!」と同じ日に二度も食べに来てくれたり、「美味しかったのでまた買いに来たよ」とリピーターがたくさんできたりと評判はとても良く、素人ながら苦労して研究した我々には本当に嬉しい限りだった。

(木次谷夫妻。味をめぐり口論数百回!?)

(右が助っ人知人S、業務全般で奮闘してくれた)

(暇な時、さらに客が寄り付かなくなる要因@!?)

(要因A・・期間中、本職に間違えられ声をかけられる事数十回)

(要因B・・掃除している時、もはや誰一人声すらかけない!?)

(満員御礼だとこの笑顔・・って違い過ぎ)

 期間中は、市内のたんぽ屋が全面バックアップしてくれた。最初は「小遣い稼ぎで火傷すんなよ〜、ワハハハ」と言っていたが、弘前公園から電話で「明日朝6時!たんぽ10ケース!」とかオーダーする度「お前らマジかよ?」とか驚きつつも快く協力してくれた。また、渋谷くみんの広場などで使っている業務用に特注した『味噌つけたんぽ専用焼き器』を長期間無料で貸してくれたり、「掲げた方が絶対売れるからもっていけ」と普段は絶対借りられないきりたんぽ協会専用のぼりを貸してくれたりと本当にいろいろお世話になった。彼等プロの援護射撃があるからこそ、我々素人も安心して戦場で頑張れるのだ。この場で改めて心からの謝辞を述べたい。

 

(連日連夜、夜遅くまで奮闘した・・弘前公園の夜桜はマジ最高!!)

(焼きながらのお客さんとの会話は何より楽しい・・疲れも忘れる)

 とにかく鬼のような超強行日程で出店期間はあっという間に過ぎ去った。この場でいくら儲かったとかいう下世話な話は控えたい。弘前市には「公園緑地課」という部署があり、弘前公園内の建物にその課が設置されている。期間中、幾度も職員が我々の店の前を通るので、ある時自分の素性を明かしていろいろ話をした。一番驚いたのは「大館は弘前から近い。露天商同士の交流はあろうが、お宅らみたいにここできりたんぽ売りたいとか言って店を出したのは私の記憶では貴方達が初めてではないか?話すら一度もきてないと思いますよ」、「観光協会とか市を通じて提案してくれたら、互いの地域での大きなイベントの際の、例えば弘前できりたんぽ販売、大館でリンゴジュース販売とか特産品交流ができるのに・・勿体ないですよ」という話しを聞いた時だ。これには私も愕然、互いにこんな近くで本当に勿体ない事をしているものだと痛感した。

 約1ケ月後、大館市内で観光協会の総会があった。出席していた私は、観光協会の専務やきりたんぽ協会の会長をはじめとする会員の人達に、弘前での半月に及んだ商売の話や先述した弘前市職員との話をした。プロの皆さんがその気になれば弘前公園でのきりたんぽ販売は今以上に大成功する!たった50Kmしかない場所で、全国から来る200万人もの観光客にきりたんぽをPRできるなんて!大館に黙っていても絶対できない事もある・・起点はもう我々がつくったので後は是非プロの皆さん達で頑張って欲しい!」・・私は力説した。この半月の珍妙なプロジェクトが、大館の観光資源PRに一役買えるならこんな嬉しい副産物は他にないからだ。

 今年は春に改選を控えている為、我々は弘前公園に出店する事はできない。選挙が終わったら弘前の花見に足をのばしてみようと思う。市内の誰かが頑張っていたら・・私は必ず買って食べてみようと決めている。激戦後のG.W.のささやかな楽しみである・・・・。

                  2007年1月 著

 

(全国区で最前線実戦修行!!味噌つけたんぽなら誰にも負けないぜ!!)

(毎日毎日、朝から晩まで目の前でイチャつかれた)

(レンジアップ作業は大混雑時は拷問。熱くて火傷するのだ)

※P.S. その他の写真は近日中にウェブ内エピソード6『フォトギャラリー』にアップする・・・