(2003年夏、松島水族館にて・・・撮影誰よ?)

 

国民保護計画編 原稿

 

 いぶき21の明石宏康でございます。先月末の話でありますが、アメリカにも数隻しかない最新鋭の海上配備型迎撃ミサイルSM3を搭載したイージス艦「シャイロー」が日本に配備され横須賀港に入港しました。2003年に小泉内閣が導入を決定したミサイル防衛構想は着実に進んでおり、今後は4隻ある日本のイージス艦へのSM3の搭載を急ぐという話も聞こえております。これは言うまでもなく我が国を標的とした中距離弾道ミサイルへの脅威が決して絵空事などでは無い現実である事を知らしめる出来事でありました。また、数ケ月前ですが、花見の宴席で友人達に「次回の一般質問では是非国民保護計画を取り上げたい」と話したところ、そんな訳のわからないものは国会に任せて、お前は病院とか市営住宅とか市政の話しをしろよなと一蹴された事がありました。これは友人に限った事ではなく、多くの市民が国・都道府県・市町村と一体で策定を進めている国民保護計画について何ら周知されておらず、他国からの武力攻撃に対する備えや心構えなど皆無の状態、緊急事態に対して全くの無防備である事を物語っております。今9月議会では私を含め3人の同僚議員がこの計画を取り上げております。賛否の立場は様々でしょうが、私は一般質問や今回上程されている本件に関わる2つの条例案を審議する委員会での議論が報道等で周知される事により、多くの市民が全国の市町村が策定に取り掛かっている保護計画を知る機会になって欲しいと思っております。それでは通告に従いまして順次一般質問を行います。

 

 国民保護法は16年9月に施行されました。大きく2つに大別され、一つは武力攻撃やテロの際に国民の生命や財産を守る為に国や地方公共団体の責務を定めたもの、もう一つは避難や救護活動など災害への対処を中心としたものと解釈できます。昨年10月にはこの国民保護法に基づく国民保護計画が閣議決定され、都道府県や市町村にも保護計画の策定が義務づけられました。総務省消防庁の中に国民保護室が設置されている事からも、この国民保護という新しい分野が旧来の防災システムに良く似ている事が伺えます。万一の有事の際に備えるという保護計画のその概念は、現在運用されている災害に備える為の地域防災計画と何ら変わりはありません。

 保護計画に定める、市町村が実施すべき措置の一覧を見ましても、平素の訓練の必要性や住民への警報の伝達や避難実施要領の制定、生活関連等施設の安全確保から武力攻撃災害の復旧に至るまで、非常に重要な内容となっております。それ故、今回当市議会に負託されている大館市国民保護協議会設置運営に関わる条例案・・議案第98号と、大館市国民保護対策本部等に関わる条例案・・議案第99号は当市が早急に取り組むべきな案件であると私は強く思っております。保護計画の早期策定は市民の生命を守るべき自治体の責務でもあると考えます。

 

 今年2月、「武力攻撃事態等における市町村国民保護計画策定に反対することについて」という陳情が当市議会に提出されました。2月下旬受理という事で3月定例議会には間に合わず6月定例議会にて審議されましたが、付託された総務財政常任委員会では議論の結果継続審査とすべきものとなりました。内容を見ますと武力攻撃に備えるいうのは口実で、改憲論を交えながら日本を戦争する国に変えるもの、国・県の指示通りに住民を戦争に総動員する市町村国民保護計画設置条例を採択してはなりません・・・といった内容の陳情でありました。「今回の国策が政治の右傾化を招く」、「1938年に制定された国家総動員法の再来である」・・この陳情以外にもこうした意見はメディアなどの一部の評論からも散見されますが、私の考えはこれには真っ向から相対するものであります。

 まずもって改憲論と保護計画は特性の全く異なるものであり、混同して議論する事自体が大きな誤りであり、国民保護法のどこを見ても政府が国民の生命を守らねばならないという記述こそあれ、武器をとって共に立ち向かえといった戦争を奨励するような記載は一切ありません。また、有事の際に近くに暮らす子供や高齢者などを速やかに救護する為にも、いい意味での普段からの武力攻撃を想定した住民の組織化は当然必要であり、それが要らないという意見こそ「自分の身は自分で守る、そんな時に人の事などどうでもいい」のような暴論であると言われかねません。非協力者への公用令書の交付といった言葉に著しいアレルギーを感じる人達がいる事は承知しておりますが、例えばガソリンスタンドを営む方が緊急事態時に、病院や救急車への燃料供給を拒むとしたら・・・事態の対処をすべき消防隊員や警察官、行政関係者や議会の私達が自らの避難を最優先させたら一体どうなるでしょうか?こうしたケースを避ける為に整備された公用令書の交付に代表される法によるある程度の強制力を人権侵害と断定される方が数多くいらっしゃる事は本当に残念でなりません。

 確かに過去日本は国家総動員法を制定した後、国民徴用令、決戦非常措置要綱、学徒勤労令、女史挺身勤労令と軍部の強大化による右傾化の一途を辿った悲劇の歴史を持っています。しかし過去の事実があるから今回の保護計画が即ファシズムの台頭を招く、日本が国民総動員で軍事化に突入するといった類の、根拠に欠けていると言わざるを得ない、最早殆ど意味不明の議論をする時間があったら、緊急時に如何に一人でも多くの国民〜県民〜市民の安全を確保できるかといった議論に移行していただきたいと強く思う次第であります。

 

 この国民保護法と国民保護計画に対してどんな考えをもった方でも、毎日世界のニュースを観ていて有事への備えが現在同様に皆無でいいと思っている人など誰一人いないと思います。この計画では民間企業の積極的な協力や、住民の自助努力による取り組みの促進も掲げております。議案で審議される協議会や対策本部の組織の大枠は国で示しておりますが、有事の際に最前線の現場で多くの市民が持つ様々な能力を活かせる組織づくりも、条例ができた後の大切な仕事です。阪神大震災の時には崩壊した道路で救急車が立ち往生する現場で救命活動にあたる医師に医薬品を搬送するのに活躍したのはオートバイでした。また、爆撃を受けて崩壊した街で救出活動に使ったのが近くの建設会社のショベルだったニュースも観た事があります。他にも医院や薬局は勿論、ガソリンスタンドやスーパーマーケットなどの企業、また元医師や元看護師で今は勇退している方や救急救命の講習を受けている方、保育士や農家で食料を供給できる方、さらにはアウトドア派で小型発電機を自宅に持っている方などなど数多くの企業や個人が様々な形で救護活動に参画できる筈です。計画がただ紙面の計画だけではなく、いざという時に本当に役に立つものであって欲しいと願っていますし、当市の保護計画策定にあたっては市内のあらゆるジャンルの企業・人材の把握に努めて、キメの細かい町内会レベル、隣り近所同士のレベルまで連携を深めてもらいたいと思います。

 国民保護という制度そのもがまだ新しいカテゴリーであり総論を述べるにとどまりましたが、市長は現在当市が策定準備を進めている保護計画にあたってどういった見解をお持ちなのかお伺い致します。