(2003年夏、松島水族館にて・・・撮影誰よ?)

 

原稿

 

 

 いぶき21の明石宏康でございます。さて過日、本3月定例議会の初日、後ろの傍聴席が多くの児童達で埋め尽くされておりました。市内扇田小の社会の授業との事ですが、私が議員になって7年ほど経ちますが初めての経験であり、ああした形で議会を児童達に見てもらうのは本当に良い事だと痛感致しました。初日の行政報告や議案上程はいわば市長の言いっ放しタイムのようなもので、児童にはもしかしたら退屈であったかも知れませんが、一般質問や討論、採決なども機会あらば是非多くの市民の皆様に見ていただきたいものだと思います。また、合併により旧2町の議場はその役目を終え、出番を失ってひっそりとしたものです。市長を交えた子供議会や女性議会など、どんどん使って欲しいものです。それでは通告に従いまして順次一般質問を行います。

 

 この不法投棄問題と当市との関わり方につきましては、さる12月議会において同僚の松橋議員も詳しく言及されました。人里離れた山間地で、堆肥を作る会社を操業するとの名目で全国各地からおびただしい量の産廃を運び込んでは不法投棄を繰り返し、わかっているだけでもその総量は約87万?と言いますからまさに国内では前代未聞の規模と言えます。長期間こうした不法投棄を看過し続けてしまった青森・岩手両県にとってはまさに晴天の霹靂であったに違いありません。産業廃棄物緊急特別対策室を設置し、年次計画で両県併せて500億以上にも及ぶ事業費を計上し、発覚から10年以上経過した現在も尚連日その処理に追われております

 

 もう1年半ほど前になりますが、当市の厚生常任委員会の行政視察で同地を訪れた事がありました。まず衝撃を受けたのは、広大な高原地帯の現地には至るところに無数の試掘の跡があり、片付けようにも一体どこからどこまで産廃が地中に埋められているのかすら定かではないといった惨状でありました。当日は岩手県の職員が同行していただきましたが、説明の際「県内では北上市と大船渡市にある施設で処理を行っているが満杯の状態であり、とても全てを処理しきれていないのが現状。ここから最も近い処理施設は大館市であり、秋田県と協議していきたい。」旨の発言がありました。また、産廃処理後の土壌浄化の必要性について質問したところ、同様に当市に理解と協力を求めていきたいとの話しでありました。いずれ青森・岩手の両県では県政の喫緊の重要課題としてこの産廃処理に取り組んでいるとの印象を強く受けた視察でありました。ここでまず市長にお伺いしたいのは、市長は当市から車で僅か2時間余りの美しい北東北の高原地帯で、かかる未曾有の環境破壊が今尚進んでいる現状をどのように認識しておられるのか?また先の岩手県職員の当市への切実な要望を聞いてどのような感想をお持ちになられたでしょうか?忌憚ないご意見を伺えればと思います

 

 次に9月議会でも述べましたが、私は「北東北若手議員の会」という、県議や市議が広域連携して様々な機会を通じて研鑽を積む会に所属しております。同会には県政や市政の場でこの不法投棄問題に直面している県議や市議が多数おり、数年前より産廃の処理やその後の土壌浄化について議論が交わされてきました

@現地から大館市が最も近い、必然的に産廃にしろ土壌にしろ輸送コストは大きく圧縮される事

A土壌洗浄に関しては国の認可施設の第1号と第2号という国内では先駆者的な立場の処理施設が大館市にある事、

B法人税等は市外にいくだろうが、長期間に及ぶ事業収益がもたらす地域への経済効果や安定した多くの雇用が得られるであろう事

・・・以上の3点を軸に同会の若手県議や市議の間には大館市内の企業への事業参画を望む声が多数を占めてきました。

 

 かくいう私も、市内で行われているこれまでの多くの処理事業が企業の約束通りに、合法的に粛々と安全に進められている現状を勘案して、不法投棄問題の早期解決に当市企業の技術力が役に立つならば大いに協力すべきとの認識を抱いておりました。大きく報じられた事こそなかれ、1〜2年前ほどよりこれまで当市議会の委員会質疑ではこの問題への当市の関わり方を想定した議論が幾度かなされております。それは当市が負うリスクに相当する応分の対価を搬出先に求める、言わば搬入に際しての持ち込み税のような、総務財政委員会での課税賦課の可否についての議論であったと記憶しております。これについても私は、国や県に大きく依存する財源から脱却する得がたい機会との理由で何の語弊もなく賛意を感じてきました。それ故、先の若手議員達の今年の定例会を当市で開催したいとの打診を受けて、研修テーマにこの不法投棄問題を、視察先に市内の産廃・汚染土壌処理企業を選びました。講師を小畑市長にお願いした訳ですが、質疑の時間になるや、やはりというかまさかというか岩手県議から市長にこんな質問が投げかけられました。「汚染土壌の処理をこちらでお願いできないものか?」・・・何の前置きもなしのストレート発言で内心驚きましたが、同時に県議会でこの問題の早期解決に苦悩する立場ではこの質問は当然かもです。市長は「危険なものは断る。我々は洗濯屋であり、ここは最終処分場ではない。可能な範囲で引き受ける」と切り返されました。市長の答弁はとても明瞭で明快、自治体の長の答弁はこうでなくてはといった感さえあり、出席した多くの議員が賛辞を送っておりました。しかしこの『危険なものは断る』という判断を巡って近い将来、市民や行政、我々議会が大きく揺れる事になります

 

 この不法投棄問題の解決方策は、埋蔵されている産廃の処理と周辺の汚染土壌の洗浄処理という二つに大別されますが、当市との関わりがある可能性が高いのはむしろ後者であろうとの事から、ここからは汚染土壌に議論を絞ります。市長は有用金属の回収といった資源循環型社会の構築、鉱山の高い技術力の応用転換による地域経済の活性化といった観点から、この土壌洗浄事業を積極的に支援してこられました。私は平成11年の最後は強引とも思えた第1回目の搬入開始や依頼企業名の秘匿などに大きな不安や不満を感じた事もありましたが、それ以後の全国から殺到する事業には驚きながらも賛意を示してきました。企業の公約通り、この事業による軽微な環境汚染も未だに報告されておりません。ただ市長との認識が若干違う点は、一つは危険なものは断ると申されますが全国各地で大量の砒素や鉛やカドミウムに汚染された土壌が処理できるとは申せ危険だから年間数十万トン単位で当市に持ち込まれているという事、もう一つは市長は洗濯屋と強調されますが洗浄後の土壌は一部に再利用こそあれ、現在はその多くが市内で覆土となっている事、この2点であります。12月議会で松橋議員も懸念されておられましたが、今回の不法投棄問題の処理への協力が当市へ求められた場合、最大の懸念材料は100万トンとも想定されているその莫大な汚染土壌の総量です。洗浄後の放流水一つをとっても毎回排水基準をクリアしているとはいえ、時にはその基準の10倍厳しい環境基準を度々上回っているものを何百回、何千回と同じ場所に何十年も流し続けて果たしてどうなったかなどというデータは国内にはありません。何故なら現在の環境基準のレギュレーションにのっとった事業で当市と下流域が数十年後どうなったかというのが国内で初めてのデータになるからであります。

 

 この問題を一般質問で取り上げるにあたり、県の環境生活部に「青森・岩手から協力の依頼がきているなら進捗状況を教えて欲しい」と打診したところ「今まで搬入したものを除いては産廃にしろ汚染土壌にしろ連絡は今のところない」という返答があり、登壇するには時期尚早かと一時は考えました。しかし、当市企業の現地からの立地条件や国内でのその技術の優位性、青森・岩手両県議らの話を踏まえて判断すれば、近い将来どころかここ2〜3年の内に必ずや当市に対する大きな動きがあると容易に推察できます。私はその時この場にいるかはわかりませんが、市長は十分いらっしゃる可能性があります。何よりこのような後世の子孫達の生命に関わる重大すぎるこの問題を、我々議会人や当局がその時になってから是非を巡って慌てて右往左往するのは愚の骨頂であります。県に打診があり、当市に事前協議願いが出され、常任委員会で審議され、本会議で異論こそあれ受け入れ容認となれば、今まで誰も体験した事のない莫大な量の汚染土壌が当市に持ち込まれます。企業の高い技術力や現在の処理量での安全性は今のところ立証されていると言って構わないと思いますが、この県境からの土壌の受け入れを想定した安全性の検証を今すぐ始めないと、万が一、いや億が一にも将来重大な禍根を残す事態が発生した場合、賛成しようが反対しようが、受け入れを容認したその時議場にいた全員に償いきれぬ大きな責任が介在してしまいます。

 

 隣県より打診があった場合は、我々議会以外にも環境面から受け入れ能力があるかどうかを見極める為に、専門家を県境現地に派遣するなりして土壌の成分分析のデータを基に慎重に判断を仰ぐべきです。正式に受け入れを決めていない時点で専門家を招聘するなど滑稽に思われる方もおるでしょうが、国内でも最先端をいく洗浄施設を有する当市が、すぐ近くにある国内最大の汚染土壌の深刻な被害を百も承知で現在何一つしていない、対岸の火事とただ傍観していて、それが環境先端都市を標榜する自治体の姿でありましょうか?私は直ちに協力して受け入れろと言っているのでは決してありません。企業任せではなく果たして受け入れる事ができるのかどうか慎重に検証するのが行政の責任ではないかと申し上げたいのであります。事前協議願いであれば事業自体の可否を論じるのは我々議会人でありましょうが、その中に書いてあるそれぞれの汚染物質がもたらす危険性、県境から運ばれてくる大量の汚染土壌を長期間に渡って洗浄するその超一極集中による環境への負荷や安全性を学術的に検証できる専門家は、私は勿論今この議場には市長を含め一人もいないであろうからであります長期の雇用安定や経済効果、生き残れる強い自治体だけを考えればこの事業に反対する者など恐らくいないでありましょう。市長にはこの県境の土壌の洗浄浄化への協力が来た場合の安全性の確立について、どのようなご所見をお持ちなのかお伺い致します。

 

 不法投棄問題への協力の是非を巡る議論は今は静かなものですが、将来的に大きな関心を集め広く圏域住民の知るところとなります。この議論が大きくなる事により「しばらくあの辺の農作物は食べない方がいい」なるあらぬ風評被害などが、国内有数の米どころである秋田県では絶対おきてはなりません。しかし「対岸の火事だから関係ない」なのか?「地元の環境産業として要請が来れば応じる」なのか?私達にはそれを健全な立場で議論して慎重に判断しなくてはならない大きな責任が課せられております。最後の質問になりますが市長に単刀直入にお伺い致します。市長は現在この県境の汚染土壌を受け入れるか否かについてどのようなご所見をお持ちでしょうか?企業で処理できるとの判断があれば賛成なのか?覆土とせず洗浄後再びコストを投じて現地に持ち帰るのが条件であれば賛成なのか?市長は未だ国内に前例のない大きな事業事が今起きようとしている自治体のリーダーであります。是非、現時点でのお考えを拝聴させていただきたくよろしくお願い申し上げ、私の一般質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。