2004年9月定例議会 一般質問

 

            公営住宅 編

 新生会の明石宏康でございます。一般質問に先立ちまして、今年の夏は集中豪雨や度重なる台風が日本列島に大きな傷跡を残しました。当市においても農家をはじめ多くの方が被害を受けられ、心よりお見舞いを申し上げます。

 さて、過日定例会開会日に会派内で15年度決算特別委員会の委員配属の話し合いが行われました。「まだ残暑だと思っていたのにもう決算委員会の話しが出る秋になったのだな」と考えておりましたが、同時に当市では間もなく来年度予算の配分の話し合いが始まる頃でもあります。市内のたくさんの町内会や教育施設、福祉施設、各団体などからは、切実な要望事項が多々寄せられております。予算配分の骨格となるデザインを描く市長は勿論、予算要求に臨む当局の皆様方には、是非、こうした一つでも多くの要望に応えられる事ができます様、一人でも多くの市民の声が市政に反映させられる事ができます様お願い申し上げるものであります。

 それでは通告に従いまして順次一般質問をさせていただきます。

 

 この大町、新町、中町、向町の市営4団地の建てかえ案は8年前に計画されてから長年の懸案事項でありながらも進展を見せず計画は暗礁に乗り上げた格好となっておりましたが、今年3月定例議会建設水道委員会にて当局が「今年度中に建設場所を決めたい」との見解を示した頃より、にわかに議論が活発化して参りました。4団地の中には5年前から既に無人化になったままのものもあり、早期事業着手に向けここにきて計画が動き出した事に圏域住民は大きな期待を寄せ推移を見守っております。 

 国では三位一体改革の中で、公営住宅整備事業補助金を順次削減しており、今後は新たに建設する公営住宅がまちづくりにおいてどのような役割を担うのかが、補助対象の前提になる傾向が出ています。こうした事を踏まえ県の建設交通部建築住宅課では今年5月、当市の4団地建てかえ計画を中心市街地活性化事業と一体化した提案書を作成致しました。 

 現在、県が示したこの提案を基に地元住民と市当局による勉強会が始まったばかりであり、意見集約もままならぬこの時期に一般質問にて取り上げるのは拙速ではないかと正直私自身随分悩みました。何故この計画が動き出したばかりでこうして登壇したのかについて今しばしお時間をお借りしてお話させていただきます。 

 平成12年12月定例議会にて私は『市街地活性化は当該地域の既得権保護ではない』との質問をさせていただきました。住民の総意もなしに「自分達は頑張っているんだ。だから補助してもらって当然だ」のような商業者の一方通行的な発想でまちづくり事業を行うのは危うい・・・なる旨の質問でありましたが、市長は答弁の中で「市街地活性化は地域の住民全ての幅広い支持があってこそ成り立つものである。コンセスサスの形成においても行政や商業者だけではなく多くの住民の参画が必要である」との認識を示されました。 

 私は今回の4団地建てかえが市街地活性化事業と一体となって行われる事が今この場にいる同僚議員の皆様や多くの市民から「また大町か」との批判を浴びるような事は絶対あってはならないと強く願っております。また、平成14年教育産業委員会ではスカイパーキングの赤字問題が大きく取り上げられ、公営駐車場の不採算性はそれこそ与党も野党もなく非難の艦砲射撃を浴び続けました。総括質疑で私は「当該地域の代表議員の一人として誠に申し訳なく思っている」旨の発言をして不満というより怒りを感じている多くの市民に対してお詫びを申し上げました。今回の建てかえ事業は、今まさに動き出したばかりでありますが、地元と当局のみの合意形成ではなく、議会の皆様や圏域住民の大きな賛同を得てから進めていきたいとの強い思いで一般質問で取り上げたのはこうした過去の経緯があったから故であります。 

 本題に戻りますが、過日市長室にて当局と地元の代表者を交えた4団地建てかえのすり合わせが行われ、席上、大町商店街振興組合からは「中心市街地への公営住宅建設を地域の個性を生かした再開発に繋げたい。全面的な協力を惜しまない」との大きな期待を込めた要望書を市長に提出致しました。市長は説明の中で県が提案している民間事業者が建設した住宅を市が借り受けするという、いわばPFI方式市営住宅と呼んでもいいのではないかと思いますが・・・そうした建設手法が望ましいとの見解を示されました

 私はこの民間資金を活用する手法に殊更に異存がある訳ではありません。質問に先立って一昨年に完成した前田団地を視察しましたが、素晴らしい公営住宅であり、競争倍率といえば語弊がありますが、抽選で選ばれた幸運な方しか入居できないのもうなづける内容でありました。ビジネスとして考えた場合、仮に3LDKに家族で入居する場合、通常7〜8万円の家賃が相場ですが、入居者からは3万円ほどよりいただかず、差額は市の負担になる訳ですから1LDKで3万円から4万円の家賃を払って他に入居している方は殺到するに決まっております。それ故大がかりな修繕を要する一定期間経過するまではまず満員に近い状況が続くと見込んでも決して甘い見通しではなく、参入企業は大きな安定収入を約束されます。この公営住宅のオーナーになろうと考える地権者や企業は必ずいるでありましょうし、また当市としても建設にあたって起債を必要としない為双方に大きなメリットがある優れた提案であると言えます。9月4日付けの地元紙でも県の財政構造改革検討委員会の記事が掲載されておりますが、その中で「学校や病院以外のハコ物建築の抑制、インフラ整備にPFI方式を積極的に導入していく」との方向性を打ち出しております。 

 しかし、この公営住宅の建設に際しては多様な補助メニューの組み合わせが可能であり、当市のこれからの協議次第では、先に述べた民間資金を一部活用しながらも多くの機能を備えた優れた住宅を建設する事が可能であります。私が申し上げたいのは県が示している他方の提案でもある「福祉施設等を併設した公営住宅」を現在進んでいる議論に選択肢として取り入れたいという事であります。当局との話し合いの中では民間資金を活用するという先の提案を生かしたまま、こうした福祉施設を併設する事も十分可能であるとの説明であり、こうした多機能併設住宅が市街地にできる事でのメリットは大きいと感じているからであります。仮に1Fや2Fにデイ・サービス・センターと訪問看護ステーションがあったとした場合、今は介護や看護も必要としていない方でも安心して暮らしていただく事ができます。また介護や看護を必要とする高齢者の方にはこれ以上ない在宅での生活支援策となります。これに市街地活性化事業として店舗が入居した場合は、お買い物代行などのサービスで特に高齢者入居者への生活支援で貢献する事が可能ですし、これは同時に衰退に悩む商店街にとって魅力ある店舗のテナント入居は街区に訪れるお客様を増やすチャンスでもあります。託児所が併設された場合でも高齢者を抱える共稼ぎ世帯を生活支援する事ができます。市街地に公営住宅ができると夜間の人口は必然的に増加しますが、加えてこれが福祉施設等併設型であるなら日中の人口増にも直結するのであります。増改築事業によりリニューアルされる市立病院が1Km未満の距離にあり、市街地の福祉型公営住宅は高齢者入居者にとって絶好のロケーションとなります。

 能代市では中心市街地活性化問題への取り組みとして街中に『能代ふれあいプラザ サンピノ』を建設しました。40世帯が暮らす市営住宅としては勿論ですが、同時に少子高齢化社会に適応する為に在宅福祉サービスの拠点づくりにも重点をおいた内容となっております。3階から8階までは住宅ですが1階、2階にはデイサービスセンターや社会福祉協議会、ボランティアセンターやヘルパーステーション、居宅介護支援事業所、保育所や子育て支援センター、など福祉型公営住宅としての典型ともいえる充実した内容となっております。まちづくり対策と少子高齢化対策がこのような形で一体化できたこうした事例は当市としても大いに参考になるのではないかと考えております。 

 『どういった資金ぐりで4団地を建てかえるのか』となった時に、県や市長が示している民間資金活用の方策は確かに時代の趨勢を睨んだ提言であります。その次の議論で問われるのが『どういった内容の建物にするのか?』であります。これには地元、当局以外にも多くの方が参画するでありましょうが、この議論の場に「福祉施設等併設」案を是非盛り込んでいただきたく、これに係る市長のご見解を伺うものであります。

 

 次に建てかえ場所に関連して2点お伺い致します。先に述べた市長室でのすり合わせの際に市長は現在地での建てかえを検討しているとの見解を述べられましたが、その場に居合わせた私は正直大きな疑問を感じてしまいました。市費の節減を軸とした民間資金活用の持論を展開されたばかりの市長が今度は4団地の跡地にそれぞれ4棟新たに建設したいと話されたからであります。4棟の中には僅か12世帯というのもあり、建築に明るくない私であってもこれでは例え民間事業者が参画してもコストの高騰は歴然としており、何故何棟かを集約させた案が示されないのかと・・・コスト削減故の民間資金活用と4棟それぞれの建設、市長が言われるこの2つの見解が全くスィングしていないのではないかとの疑念を感じるものであります。勿論、長年公営住宅に土地を提供して下さった地権者の方への細心の配慮の表れなのかもとは思っておりますが、PFI方式であろうとなかろうと多額の公費負担を伴う本事業でありますので、慎重な議論の中にも明確な指針と説明が必要であります。当局と地元の勉強会の中で「市としては早ければ12月議会にこれに係る補正予算を計上したい」との事でありましたので、建設場所に関しては今年中と言えどもある程度の方向性を持たせる段階に来ているのではと感じております。これにつきましては次の質問にも密接に関連しております。現在市長が議会に示せる最大限の範囲でご答弁願えます様お願い申し上げるものであります。

 

 建てかえ計画につきまして最期の質問になりますが、建設場所につきましてもう一点お伺い致します。現在地の地権者も交えた議論が進み、適地を探して新たに4棟を集約させた住宅建設を進めようとの合意が成されるのも遠い日ではないとの声が地元を中心に起こっておりますが、市街地には旧正札竹村跡地という絶好の適地があるという事を皆様に強く申し上げたいのであります。市長は「商業住宅一体型の市営住宅を旧正札竹村跡地に」と要望した地元の代表者らに対して『正札跡地問題と4団地建てかえはハッキリ分けて考えたい』との認識を示されました。全く別の適地を探して4棟集約の住宅を建設する場合と正札跡地とで土地取得費用以外に顕著に違いの出るのは2億ともそれ以上とも言われているその多額な老朽化した建物の除却費用であります。

 正札が倒産してから旧店舗は中心市街地活性化事業の前に衰退のシンボルの如く大きな壁となって立ちはだかっております。その建物の撤去については同僚議員も一般質問で取り上げるなど関心を集めて参りましたが、その多額な除却費用は一部商店主などらが出費できるようなものではなく、跡地を再度活用できる機会を待ち続ける事が唯一の方策でありました。民間資金を活用した場合の「優良建築物等整備事業」の補助対象となる項目の中には土地整備費として除却費用や整地費用などが盛り込まれております。私はこの僅か1行の項目にこれからの正札跡地利用への一縷の望みを感じるものであります。また、公営住宅のオーナーにならんとする事業者の方達は、その除却費用の一部を負担してでもその後の住宅がもたらす収益を考慮して十分採算性があると判断するやも知れません。私が現在懸念して止まないのは、眼前にある除却費用のみが強調され今回の建てかえ計画の候補地から正札跡地が暗黙の了解のように避けられていく事であります。

 私も他ならぬ商店街の一員ですが、この跡地利活用問題は果たして地元のみの問題なのでしょうか?私達商業者は周辺の農家をはじめとする多くの消費者の皆様に支えられて生活して参りました。ここ10数年来大文字まつりと神明社祭典以外大町を歩いた事なんてないなぁと思う方でも、地元企業の正札竹村の倒産に胸を痛めている人は少なくないと思っております。一方では先に申したようにスカイパーキングを始め埋設電柱や空き店舗対策など今までの大町地区への公費投入に加えて、県の提案とはいえ従来の公営住宅の建設手法を一変させて中心市街地活性化事業と連動させる事に不安や不満を感じる人もまた少なくないでありましょう。ここで市民の代表者でもある議会、市長、当局にお願い申し上げたいのは、こうした形で活性化事業として住宅建設計画が浮上して来たのは当該地域に暮らす商業者にとってはまさに得がたい機会であり、中でも正札跡地を再活用する事により市街地に明るさを取り戻し、従来のような賑わいを起こす大きな起爆剤となるという、この商業者の切なる願いに皆様のご理解を示していただきたいという事であります。地元だけの合意形成ではこの計画は砂上の楼閣のようなものです。地元だけではない広範な住民の理解と賛同、応援があってこそはじめて、たくさんのお客様が集う市街地になるのであって、これは昨年9月多くの議員が取り上げました地域に信頼され愛される市立病院をつくろうとの思いと何ら差異のないものではないかと信じたいと強く思うものであります。 市街地ならではやも知れませんが、住宅建設以前に用地確保と現在地地権者への配慮という大きなハードルに、今建てかえ計画は周辺住民を巻き込んで揺れております。市長にはどうかこの建てかえ計画に対する大きな期待を十分にくんでいただき、正札跡地利活用という焦点にもどうかスポットをあてていただき前向きに検討していただけます様お願いするものであります。これに係る市長の忌憚のないご見解と姿勢をお伺い致します。