明石宏康 一般質問原稿3

1 地方分権の激動の時代を迎えて
 

@「言いだしっぺになりたくない」ではもう済まない本県の市町村合併推進の必要性。市長の英断を希望する。

以下、質問内容



 いささか古い話しではありますが、昭和62年私は仙台市で学生をしておりました。当時の仙台市は同年隣接する宮城町を編入したばかりで更に仙台市のベッドタウンとして莫大な税収をあげていた泉市と温泉観光で有名な秋保町を編入べく大がかりな行政区の再編を行っておりました。当時のこの編入準備の様子は地元テレビに年中連日の如く報道され、学生の私にですら記憶にあるのですから、相当の議論であったと記憶しております。結果合併により市政施行100周年に合わせて念願の政令指定都市になったばかりか、国際コンベンション・シティーの指定を受けるなど東北最大の都市として大きな飛躍を始めたのは私達の記憶に新しいところでもあります。

 こうした合併の動きは昭和60年代からにわかに活発化して、本年平成14年に至るまで全国で23回にも渡る編入合併、新設合併が行われております。昨年5月に浦和市、大宮市、与野市の3つもの市が一度に合併したさいたま市は特に有名であります。また昨年9月時点で市町村合併支援本部を設置していない都道府県はわずかに11と、市町村合併は大きな時代のうねりとも言えます。

 600兆円を超すわが国の債務、税収の増大を期待できずその財源を国、県へ依存せざるを得ない全国の市町村、少子高齢化により増大の一途をたどる民生費などがこうした動きの背景にある訳ですが、果たして当市を含むここ秋田県は例外なのでありましょうか?もう耳にタコができてしまいそうなほど聞かされているデータではありますが、秋田県の65歳以上の人口割合は4人に一人と言ってもよい23.4%、20数年後には3人に一人となり全国一の高齢県になると予想されております。更に出生率に至っては現在全国最下位の大変不名誉なトップとなっております。こうした背景の下、税収の落ち込みや国、県の支出金の削減が絶対的とも言える状況下において、県内のそれぞれの町村や市が「自分達の文化会館」、「自分達の福祉施設」、「自分達の公園」などという旧泰然とした公共事業展開をしていては財政が逼迫する事は目に見えております。事実現在、既に県内60町村の3分の一に近い19町村が公債費比率の赤信号とも言える20%を越えてしまっております。まさにこの市町村合併は当秋田県にとって避けては通れないと言うよりむしろ緊急に取り組むべき重要課題であるとも思うのであります。

「いつかその時になったら対応すればいいのではないか?」などと悠長な事を言ってはいられないのが県内の現状なのであります。また、こうした合併の話は「編入する側が言いだしっぺではまずいだろう。近隣町村の気運の高まりがあってからでいいじゃないか?」・・そんな感情論でどこか疎遠にされてきた事も少なくなかったと感じております。何より合併による勇退を嫌う首長や議員が消極的な自治体もあったと聞いた時は誠に残念でなりませんでした。

 先週始めに昨年合併した大船渡市と三陸町へ個人視察に行ってまいりました。率直な視察の感想ですが何より一番驚いたのは合併の機運の盛り上がりから合併実現までの、そのスピードの早さでありました。平成12年11月14日に大船渡市の広域行政検討委員会が三陸町との合併が望ましいと結審してから、わずか6日後に大船渡市長が三陸町長を訪問、それから2ケ月間の間に相互に訪問して合同での推進に合意、そして昨年11月15日には合併が施行された訳ですから、大船渡市の委員会の結審から1年と1日で合併を実現した事になります。三陸町民に対しては地区ごとに懇談会を何度も開催し、また町内への意見提言箱を設置して民意の集約に努め、また町長が全てを読んだというEメールでの意見募集など、何より合併して大船渡市となる三陸町民へ理解、協力を求める事に労力を惜しまなかった事が円滑な実現の最大のポイントである事を伺いました。これを大館市になぞえれば、1市2町との県の提案は既に示されている訳ですから、合併するしないに関わらず、それを公的に協議して意見集約する4月から動き始める当市を含む1市2町の合併研究会の担う役割は極めて重要であります。「大館市と周辺の町は合併するのだろうか?」と疑問を抱く圏域の住民に対して、明瞭な現状説明とこれからの指針を示していく責任がこの合併研究会にはあります。先に申しましたが私が視察した大船渡市ではこの研究会に相当する委員会が合併が望ましいと答申してからわずか1年で合併しています。中でも近隣2町に先駆けて当市と市長がその牽引役である事は間違いありませんのでそのアクションに大きな期待を寄せるものであります。 


 私は地域によって様々な事情があり、合併しない方が良いと言う意見を平たく否定するものでは決してありません。確かに理想的な財政運営と社会資本整備をして自主独立の精神と実績に溢れた優良自治体はその必要性を疑うでありましょうし、住民に全くその意思が無いのに議会や当局だけが合併を押し進める事も整合性に欠けるでありましょう。一方的な押しつけがましい合併推進論は、編入される市町村の住民の大きな反感を買う懸念も勿論あります。先に話した仙台市の事例においてもそうした異論の声も無かった訳ではありませんでした、「政令指定都市認定始めにありき、事業の予算規模拡大始めにありきの施策では?」との批判でありました。健全な議論はけっこうでありますし、またこうした大事業の施行にあたってはそうした論争があって然るべきとも思います。しかしこうした考え以前に当北秋田圏域一帯において大変大きな問題があります。それは圏域の住民の方々に対してそうした議論や説明が未だ行われていないという現状であります。市民や近隣の町民にこうした全国的な背景や合併の流れが全く説明されていない、その事業すら認知されていない事、当市においては市民に賛否を論じる機会や情報提供の場すら未だにないと言う事が、一番大きな問題であると思うのであります。こんなに大事な話であるのに、これでは議会や当局がにわかに何を言っても市民には全くつかみ所がない、争点すら見えない水かけ論になりかねないのが現在の現状なのであります。どこか「言いだしっぺ」になって隣接する2町の批判の矛先になりたくはない、県の指導なのだからやりますか・・みたいな消極的な姿勢ではなく、合併研究会では当市が率先して真摯な姿勢で呼びかけてみるというような協議検討を期待するものであります。

 全国の先進事例を見ますと、市民から発議をいただいて合併協議会を設置するケースもあるそうですので、これは更に理想的な流れであると私は思います。圏域各分野から広く市民町民を募り、NPO的な機能を持つ合併協議会が発足できれば非常に有用に機能すると私は考えます。始めに推進ありきなどではなく、「そんな事本当に必要なのか?」から「何故必要なのか?」、「やるとしたらどうすればいいのか?」まで徹底的に協議検討すれば良いのですから、こうした双方の住民を交えた協議会での決議であれば、やると決めてから住民の合意形成でモメてしまう最近の当市事例のような騒ぎはおこらないと思うのであります。

 ここで強く申し上げたいのは市民の負託、信託を得て采配をとる市長の考えは極めて重要であるという事であります。市長が付議して我々議会が議決すれば即座に協議会を設置できるという方策もありますので、こちらのやり方では首長同市での健全な意見交換や当局同士の合意形成づくり、市民町民の意見集約を直ちに行う事ができます。いい悪いを真正面から議論して市民町民の結論が「今は合併しない」であるのであればそれはそれでいたしかたないとは思いますが、ただ私は現状に固執ともいえる「合併しない宣言」などを行ってそれぞれの自治体がジリ貧の財政難になったその時になってから、我々議会人や当局が「合併していれば良かった」とか「借金が多くて交付税が削減されて財政運営に支障がある」などと言う無責任な言動は絶対に許されないと強く申し上げたいのであります。重ねて申し上げますがこの合併問題に関しての市長の責任は極めて重大であります。当北秋田地域において将来的にも先鞭をとっていくべき当市市長が、現在の全国の市町村合併の大きな流れをどのように認識しておられるのか、またご自身が率先してこの合併という課題に早急に取り組まれるお考えがあるのか、そのご所見を伺うものであります。