明石宏康 一般質問原稿

1 21世紀の大館市総合計画について
 
@環境や福祉、医療は採算性のあるサービス業との認識で取り組もう
(聖域でも何でもない) 

 

以下、質問内容


 当市では、ゼロ・エミッション構想の下、様々な環境政策が打ち出され、環境先進都市として全国的にも注目を集めつつあります。ほんの数年前までは耳慣れなかったエコタウンや家電4品目、ISOやコンポストなどのリサイクル関連用語は今や知らない人もなく、当市の取り組みは確実に市民に浸透しつつあります。

 何より私自身、昨年の12月定例会の一般質問でも申しあげましたが、これらの政策はその安全性の確立にまだまだ議論の必要があるものの、その波及効果は有用資源の再活用にとどまらないと思います。県内の雇用はここ数か月改善のきざしこそあれ依然厳しい情勢です。市内でも中高年、若年層を問わずリストラの話は連日の如く聞かされております。

 日中ハローワークに近いハンバーガー・ショップなどに行きますと、私と同年代の人達がテーブルの上で乳幼児をかかえた奥さんに求人票を見せながら深刻な顔で話をしている姿を度々見かけます。あの光景が彼らに議員をさせてもらっている私が一番自分の無力を思い知る瞬間です。

 エコタウン計画にはそういった市内の厳しい雇用情勢を回復させる力があります。今は何人単位のごく僅かな雇用創出でも環境先進地としてのイニシアチブが発揮できれば関連企業誘致も含め近い将来何百人という市民の雇用の場になる事ができるはずです。

 「安全性を後回しにして全世界的な取り組みであるエコロジー運動を金儲けのネタにするなど不謹慎極まりない。」一部の市民からはこんなお叱りを受けるやも知れません。しかし大館市はこれ以上の人口流出や雇用情勢の悪化を傍観している訳にはいかないし、先ほどのお店での話を「それはそれ。雇用創出と環境問題は別世界」などと非道に括れる人などこの大館市には一人もいないと信じています。

 私は『エコタウン計画は社員がだんだん減ってきた株式会社大館市の起死回生を担う一大ベンチャービジネスだ』と大きな期待を寄せています。

 議案第137号である「21世紀の大館市総合計画」の施策大綱4節の見出しにはこのエコタウンを『新しい産業を核とし、雇用の確保と市民所得の増大を図る活力ある産業都市』と位置づけています。安定した就労を維持するためには生産性と収益性が必要なのは言うまでもない事であり、安全性の問題を除けばその経営観念は商店街のお店や町工場、娯楽施設と何ら変わりはありません。環境といえば問題という言葉が続いた時代は終わり、近い将来環境関連企業の社会的地位は確立される日が来ると思います。

 エコタウン事業は全国の魁となるべき、他の自治体の規範となるべき社会的責務すらあります。公費垂れ流しの赤字事業など絶対に許されないとの認識のもと市民が一丸となって取り組むべき課題であると思います。同計画の内容を見ますと「循環型産業を含む新産業の立地と地元製造関連企業の振興を図る」とありますが、あまりにも簡潔すぎると言うか大ざっぱで市長の描いている青写真が今一つ見えてきません。市長は具体的にエコタウン計画をどのような形で発展確立させ、核となる地元産業にしていくのか先の構想について、今一度口頭でのご説明をお願い致します。

 次に福祉の採算性についてお尋ねいたします。

 介護保険制度導入の影響もあり、昨今ではたくさんの民間企業が高齢者福祉を21世紀の有望なビジネス・マーケットとして捉え新規参入してきています。中でも在宅介護支援関連は花形で、民間大手の一度に1万人以上にも及ぶ登録ヘルパーの補充は、変わりゆく福祉事情の典型として度々新聞等に紹介されています。独居老人のセキュリティー・ビジネスや雪おろし、買い物代行まで業態は実に多種多様であります。この一連の福祉のビジネス化の流れは家族の介護負担を軽減させる意味で非常に大きく、従来の家族介護者が安心して働きに出かけられるその生活様式の変化だけでGNPが上昇するとさえ言われております

 当市でも高齢化に伴う施設介護の需要は多く、どこの特養ホームも満員状態でありショート・ステイを繰り返しながら順番を待っているうちに亡くなってしまう人が出てもおかしくないと思うほど、表現に語弊はあれど連日大盛況なのが現状であります。

 しかしこれから10年20年後を見据えた時問題なのはこうした民間業者の大量参入が及ぼす各公営福祉施設への影響であります。各施設では施設長をはじめ寮母や看護婦、生活指導員、事務員など各分野のエキスパートを職員として雇用していますのでランニング・コストは決して安くはありません。むしろ後ほど別に質問させていただきますが、高度な専門知識や技能を要する施設職員にはしかるべき報酬があって当然と考えております。

 しかしながら設備投資の行政支援がありながら収益を計上できないのは何故なのでしょうか?たとえ各施設別の収支決算が黒字でも、それは設備投資の償還や財政支援を行政が行っている為であり、グロスで考えた収支は赤字なのでありますから、大きな声で儲かっているなどとは言うことはできません。公営とはいえ競争力を備えなくして将来的に利用者を安定して獲得できる保証などどこにもないのであります。

 次の医療にも重複しますが、赤字だからやめるという訳にはいかないのが公共施設ですので損失金が大きいほど一般財源からの繰り入れが増大し市全体の財政を圧迫します。完全な独立採算と言えば机上の理想論になってしまいますが、採算ベースに近づける努力は必要であります。

 確かに介護保険制度の介護サービス料金は一律に定められておりますので、黒字にするため利用単価を引き上げるなどといった事は許されません。しかしこれからの公営福祉施設は管理運営という理念を捨て、質の高いサービスの販売提供、常に改善を目指した企画力や採算性を重視した経営理念が求められると思います。

 これからの高齢者福祉は社会のニーズから生まれた、相互の信頼から成り立つサービス業であるという考え方につきまして、市長はどのようにお考えなのかそのご所見をお聞かせ下さい。

 続いて市立病院についてお尋ね致します。

 ここ数年の経営状況の改善努力で累積赤字は大幅に減少し、病院の財政状況は確実に好転しております。関係職員の皆様にはこれに至るまで並々ならぬご努力があった事とお察しいたします。

 公共医療の収益性云々などと申せば『市民の為の施設であってはじめに収益ありきでいいのか?年間何億円の儲けを予算に見込むなどけしからん』と先の環境同様おしかりを受けそうでありますが、私にとってはその発想こそどうかと思うのであります。高度な専門職のみならず、人の命を左右するその職責は極めて重大である故医師はその社会的身分保障が約束され、そのサービスに見合った診療報酬を得る訳ですから、その利益を不当と感じる事こそおかしいと思います。

 看護婦や医療技術員、薬剤師等の職員の方達の職責と報酬も同様であります。適正利潤を目指す事は不謹慎でも不当でもなく、質の高いサービスと代価の取引をするという経済活動の原則から見れば当たり前の事であります。逆にどんどん収益を獲得して潤沢な資金があれば、施設改修は勿論、例えば質の高い医療機器の購入、周辺の緑化や駐車事情の改善などに充当できる訳ですから、採算性のある健全経営こそ住民本位の公共医療施設と私は考えます。職員の皆様には病院だからと聖域扱いする事なく、医療も高度なサービス業との認識で尚一層のご努力をお願いいたしたいと思います。

 総合計画にも盛られておりますが、市民の広く知るところとなりました同病院の増改築事業は、かなり高額の設備投資を要しますが、圏域の医療サービス向上の為にも是非早期の着工を望んでやみません。市長には増改築後の病院の安定した財政基盤の確立に対してどのような経営理念をお持ちなのかお伺いいたします。

 また病院職員の労働環境について1点お伺いいたします。平成11年度の病院の経営分析表にありますが、医師1人の1日あたりの入院患者数が全国平均と比較して約180%にあたる14人、看護婦1人の同様の比較は約160%の2.1人というのには驚きました。無論いろんな病院の平均値ですので総論ではありますが、外来の比較では医師は全国平均の約220%を、看護婦は約190%もの患者さんをこなしているのです。当然職員1人あたりの診療収入、稼ぎが全国平均より多く、これは職員の日々の努力の賜物であり決して悪い事ではありませんが、このような激務が連日続いているのが適正な人員配置かどうかは非常に疑問であります。

 次から次へと何のゆとりもなく対応せざるを得なくては、どんなに病院を綺麗に増改築しても、気持ちよく働けるはずなどないし、この激務が決して再発させてはならない医療ミスの要因にもなりかねません。何より問題なのはこのような状態が過去3年間を見ても継続しており、医師と看護婦の過酷な労働環境が改善もなく放置されていたとも言えなくありません。

 先に採算性重視と申しましたが、患者を1人でも多くさばいて、何でもかんでも検査させて患者の支払い単価を上げ、とにかくひたすら売り上げを伸ばそうよと言っているのでは決してありません。あえて需要と表現しますが患者数と、それに見合った供給側である病院の受け入れ体制のバランスが悪いと質の高いサービスの安定した提供ができないと申し上げたいのであります。

 同総合計画の施策大綱第3節には『地域の中核となる市立総合病院の医療体制を充実する、医療スタッフの充実を図り診療体制の充実に努める、』などとうたわれております。市長は緊急を要すると思われるこうした医療現場の労働環境の改善についてはどのようにお考えになっているのかお尋ねいたします。

 

以下、市長答弁


 まず、21世紀の大館市総合計画に関連いたしまして、「環境産業への取組みと多様な地場産業の振興や地元企業の育成とはどういうことか」というお尋ねでありますが、地球環境の保全は、21世紀の大きな課題の一つと受けとめており、循環型産業を含む新産業の立地と地元製造業の振興を図りながら、新たな技術集積を進めることにより、本市の産業基盤の強化を図ってまいりたいと考えているところであります。

 施策の内容といたしましては、再資源化を図るためや再資源の商品化のための企業、研究機関等の立地を促進することと、企業の立地や設備投資のために、工場等設置促進条例による固定資産税の減免や福利厚生施設等助成金の交付、マル大融資、中小企業機械類設備資金融資斡旋制度など各種制度の拡充が主なものであります。

 また、合わせて、大学や研究機関等との連携により、地元企業の人材育成やベンチャー企業の創業を支援してまいりたいと考えておりますので、ご理解をいただきますようお願い申し上げます。

 第1点目の介護保険についてでありますが、介護保険制度が導入されたことにより、多くの介護サービス業者が参入しております。

 しかし、介護サービスを利用する方の多くは、以前からサービスを受けている事業者を希望しておりますことから、新規参入サービス業者の利用者は多くなっておりません。

 地方自治体や社会福祉協議会がなぜ介護サービスの競争力をもてないのか、とのご質問でありますが、確かに、他市町村の社会福祉協議会等においては、採算の面から介護サービス事業から撤退している所もあることは承知しておりますが、本市の状況をみますと、長年の介護サービスの経験が生かされ、社会福祉協議会を初めとして、従来からの施設は介護保険制度移行後も順調に推移していると思っております。

 次に、満員状態の施設が採算ベースに乗っていないのではないかというご質問についてでありますが、現在の状況をみますと、特別養護老人ホームにつきましては満床状態にありますが、入所者が病気で入院した場合、3か月間はベッドを確保しておかなければならず、しかも、それにかかる介護報酬は1か月当たり6日間分だけしか認められていないことが、施設の経費面の圧迫の一因となっていると思われます。また、ショートステイ施設の利用率も70〜80%にとどまっております。

 しかし、先ほど畠沢議員にご説明いたしましたとおり、訪問通所サービスの未利用分を、短期入所サービスへと振り替える特例措置の上限日数が、要介護5の方で、現在の月14日から、月30日に引き上げられることになりました。

 また、特別養護老人ホームへの入所申込みをしている方が、家族の急な入院など突発的な理由により、在宅生活を送ることが困難になった場合などに、特別養護老人ホームの定員の5%まで、ショートステイ床を一時的に活用することが、認められることになりました。

 このことにより、施設の経営状態は向上していくものと思われますので、よろしくご理解をお願い申し上げます。

 第2点目は「市立総合病院の改築事業に関連して、市長は安定した経営基盤の確立にむけてどのような所見をもっているか」ということについてでありますが、市立総合病院につきましては、経営健全化に向けて経営努力を続けた結果、ここ数年黒字経営となっておりますが、現在計画している増改築事業を実施しますと、多額の設備投資が予想されます。それにより経営が悪化し不良債務が発生したりすることのないよう、綿密な検討のもとに長期的な収支計画を作成し、併せて経営安定化のため医師などの必要な人員の確保、医療機器の整備、接遇の向上及びリスクマネージメントの充実などにより、患者サービスの向上を図るなど、市民の病院に対する信頼性を高めるため、最大限の努力をしてまいるとともに、収入の確保や支出の削減に向けて更なる努力を続けてまいりたいと考えております。

 このような病院の企業努力は当然のことでありますが、不採算部門や市民生活・医療水準向上のための投資的経費分については、一般会計でも法律に基づいた応分の負担をしてまいりたいと考えております。

 第3点目は、「患者数が多く医師や看護婦の一人当たりの患者数が多い、このような労働環境の改善についてどのように考えているか」についてでありますが、ご承知のように、市立総合病院は地域における中核病院であり、他に同規模の病院がなく、また、第2次救急医療を担っている関係上、必然的に患者が集中し、それにより職員一人当たりの患者が他に比べて多くなっているのはご指摘のとおりであります。この改善策として、現在、医師については医療法で定められている標準人員数の70%未満である充足率を80%を超えるよう、医師確保に努力しているところでありますが、計画されている増改築事業の推進のためにも更なる努力を続けてまいりたいと考えております。

 看護婦につきましては、患者数に対する配置人員は医療法で定められている基準を満たしておりますが、今後の患者数の動向や看護体制の変更などを見据えながら、更なる検討を行ってまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解を賜りますようお願い申し上げます。